雑な決算をやめるだけで節税できる
世間で「節税」といわれる様々な方法ですが、そのほとんどが「当たり前」のことです。
つまり、きめ細かく「正しい決算」をしていれば、当然の納税額で済むところ「雑な決算」だから、余分な税金を納めている、という例が少なくありません。
「雑な決算」で「払わなくてよい余分な税金」を
「正しい決算」で「当然の納税額」にすることを
「節税」というのは、違和感があります。
どちらかというと「納税額の修正」ですよね。
「雑な決算」の事例をいくつかをご紹介しましょう。
節税でも何でもない、当然の処理方法の事例
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- 貸倒引当金(1)
売掛金や貸付金などの債権の全てに「貸倒引当金」を設定し、計上していますか?
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雑な決算の例=「立替金」や「貸付金」など、売掛金以外の債権への引き当てが漏れている。
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- 貸倒引当金(2)
安易に「法定繰入率」で設定していませんか?
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雑な決算の例=「貸倒実績率」の方が有利なのに「法定繰入率」で引き当てしている。
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- 貸倒引当金(3)
「不良債権」に対する引き当ては「個別評価」していますか?
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雑な決算の例=「不良債権」「滞留債権」も「一般債権」と一緒に「一括処理」されている。
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5320.htm
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- 有価証券
決算期末において「下落」している有価証券の「評価損」は計上されているか?
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雑な決算の例=期末時価が下落して「含み損」を抱えているのに「未処理」。
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_03_05.htm
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_01_03.htm
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- 棚卸資産(在庫)
いわゆる「不良在庫」として「時価」が下落している場合「評価損」が計上されているか?
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雑な決算の例=時価が下落していて回復の見込みが無いのに「仕入値」で計上されている。
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_01_02.htm
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- 仮払金
全ての「経費」は、損金処理できているか?
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雑な決算の例=経費精算できるにも関わららず決算書に「仮払金」が、未処理のまま残留している。
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- 固定資産(1)
「幽霊資産」が計上されていないか?
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雑な決算の例=すでに売却・除却・廃棄しているのに帳簿に残っている。
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_07_01.htm
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- 固定資産(2)
「遊休資産」が計上されていないか?
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雑な決算の例=決算期末までに「売却処分」すれば「売却損」が計上できるのに、無意味に保有したまま。
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_07_01.htm
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- 固定資産(3)
特別償却や税額控除の特例は漏れなく適用できているか?
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雑な決算の例=特別償却や税額控除ができる資産なのに、一般の資産と同様の減価償却している。
(参考:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji313.htm
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- 買掛金・未払金等
いわゆる「帳端(ちょうは)」は漏れなく計上されているか?
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雑な決算の例=「請求書ベース」で買掛金が計上されており「帳端」が漏れている。
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- 給与
給与の「帳端(ちょうは)」は、計上されているか?
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雑な決算の例=例えば、給与計算の締日が20日の場合、21日~決算期末までの約10日分の計上が漏れている。
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- 社会保険
未払の社会保険料は、計上されているか?
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雑な決算の例=いわゆる「現金主義」で計上されており、未払分の計上が漏れている。
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- 決算賞与
決算後に支払う「決算賞与」が未払計上されているか?
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雑な決算の例=決算日以後1カ月以内に支払われる等、要件を満たしているのに未払計上が漏れている。
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- 資本金
減資の必要性は無いか?
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雑な決算の例=必要以上の資本金となっており、地方税の負担が割高になっている。
まとめ:本末転倒になってないか?
上記のように、当たり前の決算処理をせず、雑な決算で過剰になっている納税額を抑えるために、決算直前に余分な経費を使ったり、節税目的の生命保険を買ったり、時には「脱税」に手を染めたり・・・そんな本末転倒になっているケースは、少なくありません。
その中でも、悶々としてしまうのは、経営者自身が気が付いていないケース。
つまり、決算を税理士に任せっきりにしているため「信じるしかない」という状態です。
是非、経営者ご自身が、会計の勉強をしてください。