税理士になって四半世紀。
様々な「税務調査官」の人たちとディスカッションしました。
私の税理士としての信条は「是々非々」。
「間違っていないことは、一切譲らない」
「間違っていることは、潔く修正する」
この考え方を貫いています。
多くの税務調査官は、この考え方に賛同してくれるので、
税務調査でトラブルになることはほとんどありません。
今年も「後味の悪い税務調査」は、ひとつもありませんでした。
しかし、
「租税法律主義」の我が国であっても、極々少数派ですが
「理不尽な解釈で、強引に課税しよう」という税務調査官に出会います。
そんな時は、改めて、自分の信条・ポリシーを説明し、
白黒はっきりさせよう、と粘り強く交渉に臨みます。
いつも、口から出てくる「おきまりフレーズ」が
「後味の悪い税務調査だけは、やめよう。お互い、気持ちよく、決着させよう」
です。
経営者も人の子、「冤罪」とまでは言いませんが、
納得できない課税処分で終わると、「リベンジ欲求」が出てきます。
「正しく申告していても
結局、理不尽な課税処分をされる。
正直モノは馬鹿をみるだけ。
だったら、正しく申告するのが馬鹿らしい。
次の申告で取り返そう」
悪循環の始まりです。
民主主義の我が国において
国家と納税者が、このような関係になれば
非常に残念なことです。
若いころからお世話になっている
ある経営者の言葉が、本質だと思っています。
「税務調査は、無料のコンサル。毎年でも来てほしい。」
つまり、税務調査を受けることで、会社の管理体制などの問題点を指摘してもらえるので、ありがたい、という考えです。
過去、この会社の税務調査を担当した税務調査官の方々の「真の手柄」だと思います。
そんな「国家と納税者の信頼関係」を構築、維持するのは、税務当局と税理士の大切な社会的使命だと思っています。