試算表は誰のために作ってるか?税理士の存在価値
試算表はダレのために作ってるのやろ?
試算表はナンのために作ってるのやろ?
私は税理士になる前、つまり、勤め人時代=受験生時代から試算表について素朴な疑問を持っていました。
もう30年近くも昔の話。
毎月「月次決算」と称してお客様に試算表を郵送する。
多くのお客様が、捨てはしないものの、中には開封もせず、封筒のままデスクに積んでおられる方が。
でも「顧問料」は毎月支払ってくださる違和感。
当然、インターネットは無く、パソコンよりオフコンが主役の時代。
毎日毎日、振替伝票と格闘しながら試算表を完成させる。
苦労して完成した試算表は、誰も見てくれない・・・。
自分の仕事が誰の役に立っているか?わからない。
税理士って必要なんか?。
「試算表なんか、どうせ見てくれないのなら必要ないやん!」って思い、その悩みや疑問が、税理士の存在価値にまで及び、受験勉強も止めようか・・・なんて考えることさえありました。お客様に喜んで必要とされない仕事へのモチベーションが上がるはずがありません。
そんな悶々とした中で、仕事を続け、気付いたことが・・・
「経営者が見てくれる試算表を作ればいいやん!」
じゃ、どうすれば、経営者は試算表を見てくれるか?
「自社の経営が見えたら経営者は喜んで見てくれるはず!」
「そうや、簿記会計を知らない経営者でも分かる試算表を作成しよう!」
と実験が始まりました。
普通の試算表を見せても、簿記会計に明るくない経営者には響かない。
どうすればよいのか?
エクセルと格闘しながら試算表のアレンジが日常業務になりました。
「社長、どうですか?わかりますか?」
「まだ、よくわからんな~」
「じゃあ、ここを、変えればどうですか?」
「うん、それなら、分かる」
「はい、では、来月はアレンジしてお持ちします!」
そんなふうにお客様=マーケットとの対話を繰り返しながら「経営者のための月次決算」を作り続けました。
これが、現在のマーカスの強みである「経営管理会計」の原点です。
mustを強要するのではなく、wantに応える税理士に
多くの税理士が「月次決算」をPRしますが、その多くは「押し売り」です。
「経営者は、月次決算を見なければなりません!」、つまり「must」です。
これは、義務の履行をサポートしますよ、という意味です。
これは、ビジネスとして間違い、と思います。
本来あるべきは、「want」「needs」に応えなければなりません。
つまり「月次決算が欲しい!」という経営者に対して応えなければならないのです。
それならば、欲しくもない試算表を強要するのではなく、
欲しくなるような試算表を提供しなければなりません。
お客様=経営者が、必要とされ、期待されるモノ・サービスをご提供する視点を忘れてはならないと思います。