決算書の見方

決算書の見方:自己資本。今、廃業したらキャッシュは残るか?

決算書の見方

自己資本は、決算書の基本のキホン

自己資本
「決算書の見方」で、最も重要なのは、貸借対照表の自己資本を見ることです。

ご存知の通り、資産-負債=自己資本です。

この自己資本を充実させることが、企業を強くする最も重要なポイントです。
どんな時代であろうと、この自己資本の重要性は、変わりませんが、現在のようなデフレ環境下にあっては、益々重要です。

貸借対照表を見ない経営者はダメ!

さっそくですが、イジワルな質問をします。

「社長、直近の決算書では、自己資本の金額はいくらですか?」
「社長、直近の決算書では、自己資本の比率はいくらですか?」

いかがですか?

即答できる経営者なら、この記事は、必要ありません。
もし、即答できなければ、下記をよく読んでください。

自己資本の2つの視点

自己資本は、「率」と「金額」の両面で確認しましょう。

まずは「率」でチェック

資産総額に比べて、何割くらいの自己資本がありますか?(=自己資本比率)
この率が高ければ高いほど「他人への依存度=借入依存度が低い」つまり「自己資金で経営している」と言えます。

次に「額」でチェック

資本金の何倍の金額になっていますか?
資本金が1000万円、自己資本が1億円、ということであれば「資本を10倍に増やした」ということができます。

でも・・・それは「幻」

しかし、残念ながら・・・上記の「率」も「金額」も、実は「幻」です。
極論すると、多くの場合、その数値は「あてにならない」ので「どうでもいい」のです。

なぜなら・・・

一般的に「貸借対照表=B/S=バランスシート」は、「帳簿価格」で作成しています。会計のルールが「取得価格主義」と決まっているからです。ですから、貴社の貸借対照表に掲載されている様々な資産は、取得したときの金額で記帳されており、全て「時価」ではなく「帳簿価格」なのです。

時々「この資産にそんな値打ち(価値が)あるかいな!」という資産が堂々とバランスシートに載っていることがあります。つまり、時価=現在価値ではない金額で貸借対照表は作成されています。当然、それでは本当の自己資本はわかりません。

ですから、自己資本を評価する際には、各勘定科目について「時価=換金価値」に置き換えて計算する必要があるのです。

時価貸借対照表って?

上記のように、銀行や税務署に提出している決算書の貸借対照表は「簿価=帳簿価格」で作成しています。「時価」ではありません。
したがって、別に「時価貸借対照表」を作成する必要があります。

例えば、貸借対照表に・・・

*土地:1億円と載っていれば・・・

これは「1億円で取得した土地」であって「1億円の価値の土地」ではありません。
鑑定評価をして「2億円」であれば、「含み益」があるので、貸借対照表は「過小計上」になります。
反対に「5千万円」であれば「含み損」があり、貸借対照表は「過大計上」ということになります。

*前払費用:1千万円と載っていれば・・・

多くの場合、前払費用は、換金性がありません。つまり「ゼロ評価」です。

*車両、機械、備品:5千万円と載っていれば・・・

これらは「未償却残高」であって、「下取り価格」ではありません。
いわゆる中古資産としての価値を表しているわけではありません。

*さらに簿外負債・・・

貸借対照表には載っていない「簿外負債」を抱えている場合も少なくありません。
代表的なのは「リース残債」や「従業員の退職金」です。
これらの見えない負債も、計上しなければなりません。

このように、個々の資産について「換金価値」に置き換えて「簿外負債」を計上して作成するのが「時価貸借対照表」です。

自己資本を時価に置き換えて再計算!

中には「帳簿価格」で計算すると、自己資本がプラスだけど、上記のように、時価に置き換えて再計算すると、たちまちマイナス=債務超過って会社が少なくありません。

最も分かりやすいのは、今、廃業したらキャッシュは残るか?です。
すべての資産を換金し、すべての借金・負債を完済すると、手元にどれだけの現金が残るか。。。
これが、まさしく「時価自己資本」なのです。

もし、資本金1000万円の会社が、創業30年にして「解散」し「資産を換金」し「負債を完済」して、キャッシュで1億円が残れば「30年間で10倍」ということになります。

反対に、1000万円であれば、「元金払い戻し」となります。

残念ながら、完済できなければ「事実上の債務超過企業」です。

時価貸借対照表を作ってわかる大切な2つのこと

上記の「時価貸借対照表」を作成すると、2つの大切なことが分かります。

清算価値

清算価値とは「今、廃業したらキャッシュは残るか?」。

資本金1000万円の会社ならば、それ以上に残るか?それとも、初期投資は回収できないか?
もっと言えば「清算できるか?」。つまり「借金の完済ができる状態なのか?」、です。

例えば、毎期1000万円の利益が出ていたとしても、
10億円の債務超過ならば、その回復には100年!もかかります。

「借金完済まで何年かかるか?」
「債務超過脱出まで何年かかるか?」
「老後のための退職金はどれだけ取れるか?」

などは、損益計算書ではわかりません。

相続財産

時価貸借対照表を作成した結果、時価自己資本が5億円だとすれば、会社経営から考えると「十分な内部留保」「盤石な資本力」と言えるかも知れませんが、言い換えれば、それだけの「価値」があるわけで、これは、オーナーにとっての「相続財産」です。事業承継の際に、大きな壁となって立ちはだかるテーマです。
いわゆる「自社株評価」です。換金性のない自社株を相続する相続人は「納税資金」で苦労することになります。そうならないよう、中期・長期の対策を講じなければなりません。

まとめ・・・マーカスは「時価自己資本主義」

今後、益々、この自己資本が重要になってきます。

インフレ時代は、銀行から借金をして、仮に、その資金に手を付けず、預金していても、相対的に「目減り」していきました。
しかし、デフレ時代は、その逆転現象が起きます。

借金は、物価下落とともに、その負担が相対的に増えていきます。
昨今、物価下落に歯止めがかかったように見えますが、だからと言って、物価上昇に転じる期待がなかなかできません。
こんな時代には、借金がリスクになります。つまり、それだけ「自己資金」が重要である、ということです。

これだけ重要であるにもかかわらず、決算書を見るとき、貸借対照表に着目する経営者・会計事務所は少数派です。

マーカスは、すべてのお客様について、この「時価自己資本」を重要指標として、定期的にご報告しています。
キャッシュに裏付けされた自己資本(=内部留保)を、厚くすることが、経営の柔軟性、攻撃力を後押しします。

是非、貴社も「時価自己資本」に注目して、会社を進化させてください。

参考(外部リンク)

中小企業の自己資本比率(経済産業省)

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